居場所
君がまた音楽活動を始めた。
簡単なトークその後に曲を入れるそれが彼女の枠の回し方。
人からのリクエストなんて受けない人だった。
そんな彼女が最近持ち曲か少なくなってきたからリクエスト待ってますと募集をかけた。
「そりゃそうだよ 会ってないんだもん」
と頭の中で呟く
高校2年の冬から高校3年の夏と今年の春2人でギターと財布だけを持って横浜のホテルに泊まって睡眠を忘れて歌い続けた 。
会っていたらそんな曲も増えていた。
会っていたら君の横で僕が歌っていた。
会っていたらもう一度君の1番になれた気がした。
そんな期待を胸にしまい込んで彼女の配信から退出する。
次の瞬間カバンの中でスマホが震えるのが伝わってきた。
「会おうよ」
そんな一言を私は少し温めることにした。
「突発的な衝動での考えは一瞬で消えるから」
と君が僕に依存していた頃の初夜のセリフを思い出した。
たまに思い出すくらいでいい
会ったらずっと君の居場所にはなれないから
だからこそ君の苗字も僕の苗字も変わる頃に思い出してくれますようにと願いながら
目を閉じる